お昼を持ち寄って食べようと云われた。 顔ぶれを見て、やる気がわかなかったので、 渋ったが受け入れられなかったことがある。 しかもタイカレーを作ってこいと決められた。 気力なく作る。 持っていく。 食べると、とてつもなく辛かったので、 さすがによく…

映画館からメールが届いた。 宇宙人連れ3人以上で1000円。 宇宙人ならひとりでも1000円。 この映画、ひとりで行く人が多そうだ。 「あっわたし宇宙人です」とぼそりと云うんだ。 前の人が云っていたら堂々と云える。仲間だ。 「私も宇宙人です」 『映画館よ…

父と犬が散歩に出かけた。 転んで、リードが手から離れた。「犬が逃げる」と父は思った。 しかし、犬はくるりと振り返り父の元へ「わしを心配してもどってきてくれた」 これが人の心を掴んだ瞬間だ。 父は犬をたいそうかわいがるようになった。 父以外の家族…

愛情を注ぐものが必要ではないかと考えた。 とりあえずは観葉植物がいいかもしれない。 さっそく買いに行く。 いろんな植物の中から気になるものを選ぶ。 家に帰り、 このエアープランツをどこに置けばいいのだろう。 これでよかったのだろうかと、しばし見…

歯医者さんで、いとうさんが三人いた。 患者は五人。 診察室から出るいとうさん。入るいとうさん。私は待っているいとうさん

ふと考え方が間違っているかもしれないと感じる。 今私は黒いエプロンをしている。 汚れはわからない。 でも休みが続く日には洗濯をする。 きれいになった気分になる。 以前、黄色いエプロンをしていた。 支給された時すでに汚れていた。 洗濯してもきれいに…

仕事中をしていると、 「娘がね」と、 話しかけられたので、 「はい」と笑顔で答えた。 「むすめがね」 「はい」 「むすめがね」 「はい」 私はひらめいた。 「虫めがねですね」と問いかけると、 「虫めがね」とかえってきた。 急いで、虫めがねを取って差し…

仕事でのこと。「めぐみ(恵）さん、お待たせしました」苦笑いしながら「けいです」といらっしゃった。許してもらえる範囲だ。 飯川さんをもう少しで、めし川さんと呼ぶとこだった。危なかった。「めしかわさん。お待たせしました」はだめだ。

私が5、6歳ぐらいの頃の話。 弟が柱にマジックで落書きするのを やめさそうとしたけれどやめないので、 お母さんに言いつけた。 柱を見た母が私を叱った。「あんたも落書きしとるじゃない」 悔しかった。 「私のは絵だ。落書きじゃない」 今見ると落書きだ。

目星をつけてカメラを買いに行く。 「同じ機能でこちらの方が安いですよ」 と別のメーカーのカメラをすすめられる。 名札を見ると、そのメーカーの人だった。 「本当に同じ機能ですか。 こんなにお値段が違うなんておかしいじゃないですか」 そんなことを私…

散歩中。犬がおまんじゅうをもらった。 パクリと口に入れ、そのまま食べると思いきや 地面におまんじゅうを置いて、 砕いて食べはじめた。 「あら、お上品ね。やっぱり女の子ね」と言われた。 チーズを喉に詰まらせた経験からだと言わず、 上品なことにして…

マグネットで日付を表示しているので 毎朝、日付と曜日を変えることになる。 今日はお昼から仕事。 6月になっていると怒られた。 マグネットを上下反対にする。 「はい、9月になりました」 怒っていた人が感心する。

電車のなか、サラリーマン3人が喋っている。「家事を手伝うと基本的に喜ぶ」 「何をやっても喜んでくれるね」 「ポイントシールを貼ったら怒るんだ。 そこは嫁のテリトリーらしいんだ」「テリトリーに入ったらダメだね」

夜の予備校。行政書士の先生のお話。「インドカレーのお店だからって インド人が働いているわけではない。 むしろインド人ではない」 「そうだったのか」と、えらく感心してしまったのは一年前。

田んぼのあぜ道を柴犬と散歩中。 突然、犬がキャンとないて 足をひきづって歩きはじめたので 蛇にでも噛まれたのかもしれないと思って、 急いで病院に連れていった。 足はなんともない。なにが原因かわからなかった。 別の日、同じ場所で、 また足をひきづり…

中学三年生の時。 クラスに三人イトウがいた。 イトウがひとクラスに集まった。 何も考えずにクラス分けをしているのだろうか。 担任はA子の方。B子の方。Cの方。と呼んだ。 なぜ「さんづけ」にしないのだろうか。 「方」をつける必要があるだろうか。 中学…

中学生のころの話。 通学路でタヌキが死んでいたのを見つけた生徒が 理科のI先生に言うと先生はとんで行った。タヌキの死体を土に埋めてやり、 なんてやさしい先生なんだろうと生徒たちは感動し、 人気のなかったI先生の好感度があがった。 数ヵ月後。 生徒…

アイスの「当たり」を見せられる。アイスが食べたくなる。だが私はアイスを食べない大人だ。食べないのだが当たった時の喜びををもう一度味わいたいと思う。 アイスを食べたからと言って当たりが出るわけではない。私は食べ続けなればならないだろう。食べ続…

中学の時の遠足の写真が張り出されたとき、 私がひとりだけで写っているのがあって驚いた。 遠足を終え解散を待っているとき、N先生は気付いたらしい。 「いとうの写真を撮っていない」 それで余計な写真を撮ったのだ。 遠足なのにひとりで遠い目をしている…

「Ｉのワン(１）」と利用者に言われ 「Ｉのワンですね」と復唱確認する私。 それを聞いてた同僚が 「合わせてあげるんだ」ちょっと感心したようだった。 ふつうは「Ｉのいち」と日本語読みをする。 同じ人が今度は、 「Ｉのフォー(4）」と言ってきた。 「Ｉ…

「虫潰しちゃった」 電車の中で女の子たちが騒ぎはじめた。 手で潰してしまったらしい。 彼女たちは気付くのがはやかった。 「あっアルコール消毒できるから大丈夫。 お店に置いてあるでしょ」 「そうだね」 一件落着。

車中で父と母が話している。 「あの中にはお金が入っとるんかね」 「わしもそう思うた」 アタッシュケースを持った男性が 道を歩いているのが見えた。 私の推測はそうでない。 ただのアタッシュケース好きだ。 その証拠にちっとも緊張感がない。 昨年、模擬…

「私の言ったこと気にしてる?」 「全然、ぼくはちいさなこと気にしないんだ。 いつも大きなことを考えているから。 宇宙のことさ」それはよかった。

闊歩

今年カエルの声聞いていない。